溺愛副社長と社外限定!?ヒミツ恋愛
「ちょっと、そんな顔しないでよ。惨めな気分になるじゃない」
亜樹にそう言われて、自分の眉尻が下がっていることに気づいた。
かなり情けない顔をしていたようだ。
「……ごめん」
「だいたいね、美緒奈たちの間に割り込んだのは私の方なんだから。美緒奈は怒ってもいいんだよ?」
「怒れないよ……。今だって本当にこれでよかったのかわからない」
育ってきた環境が、あまりにも違いすぎる。
家柄の差は、どうしたって埋められないのだ。
社長職は継がないなんて、お母様を半ば脅すような形になってしまったし。
「なーに言ってるのよ」
バーンとスナップを利かせて私の肩を叩いたものだから、反動で前のめりになった。
「副社長がそれでいいって言ってくれてるんだから、美緒奈は深く考えなくていいの」
「そうなのかな……」
「血の通ってない家同士が結婚するんじゃないんだよ。人間同士。人間にランクなんかないでしょ」
言っていることはわからなくもない。
それでも悶々としていると、亜樹は盛大にため息を吐いた。
「美緒奈、面倒くさいよ! 面倒くさがるのは美緒奈の特権でしょ? 私に伝染させ
ないでよ」
どういう言いがかりなのだ。
亜樹は斜に構えて呆れたような顔をしたのだった。