溺愛副社長と社外限定!?ヒミツ恋愛
◇◇◇
「あら、ナオミさん、お久しぶりね」
京介さんに連れて行かれた“彩”では、出迎えてくれた涼子さんが「元気だったの?」と私の背中に手を振れる。
優しく撫でられて、罪悪感が数段アップした。
「涼子さん、改めて紹介します。上川美緒奈さん」
「えっ……?」
京介さんにそう言われた涼子さんは、目を丸くしたままポカンとしてしまった。
「ナオミさん、芸能人だったの? ほら、ナオミは芸名とか」
「ち、違います」
まさかそうくるとは思いもしなかった。
この店にはたくさんの芸能人が来るのかもしれないけれど。
「ル・シェルブルで働いてもらってる」
「あら、それじゃ京介さんと一緒に?」
「まぁ、そうですね。ちょっと訳があって、違う名前を名乗っていたんだ」
「申し訳ありませんでした」
私は、三人もの人に大それた嘘を吐いていたのだ。