溺愛副社長と社外限定!?ヒミツ恋愛
◇◇◇
“彩”で湯葉を堪能した私たちは、涼子さんに見送られながら車に乗り込んだ。
極上豆腐に豆乳鍋。おからコロッケ、湯葉焼売。締めは湯葉ご飯、デザートは湯葉アイス。
とにかく湯葉づくしの料理を堪能させてもらい、お腹は大満足だった。
「今夜こそは泊まっていけるよね?」
シフトレバーに手を置き、京介さんが私の顔を覗き込む。
「あ、えっと……いえ」
迷ってからきっぱりと断った。
「どうして?」
「京介さんのお母様のことがまだ残っているからです」
まだ許してもらえていない。
会ってすらくれないのだ。
それが決着しないうちは、京介さんと朝まで一緒にいることはできない。
京介さんのマンションで全てが明るみになった夜も、引き止める彼を説得して自宅へ帰ったのだ。
「それなら涼子さんにお願いしたことでうまくいくよ」
「京介さんは楽天的すぎます」
それに、涼子さんに手引きしてもらったあとは私次第なのだから。
これまでずっと拒絶され続けているのに、そう簡単にうまくいくのだろうか。
「それは誉め言葉ととらえておこう」
「とにかくダメです。帰ります」
「ハンドルを握ってるのは誰だと思ってる? 俺が連れ去れば、美緒奈はどうすることもできない」
恨めしい目つきで京介さんを見ると、観念したように「わかったよ」と言ってシフトレバーをドライブにした。