溺愛副社長と社外限定!?ヒミツ恋愛

京介さんが裏から手を回して獲得したものだ。
涼子さんにお願いして、お母様を誘ってもらおうという魂胆だった。
大好きなアーティストのライブで、どさくさに紛れて打ち解けてしまえばいいじゃないかという京介さんのアイディアだ。

私の気持ち的には、半分も賛成していなかったのだけれど。
京介さんと涼子さんのふたりに『それしかない』と言われれば、頷く以外にない。


「……この人は、いったいなにを言っているのかしら。私にはさっぱりわからないわ。早くお消えなさい。私は妹と待ち合わせているの」


お母様は涼子さんとふたりで観るものだとばかり思っていただろう。
そこに、まさか私が現れようとは。
今、一番忌むべき存在の私が。


「涼子さんはいらっしゃいません」

「……どういう意味?」


不快感をあらわにする。
眉間には深い皺が刻まれていた。


「私が涼子さんにお願いして、お母様を誘っていただいたのです」

「ちょっと、いつから私があなたの母親になったというのよ」

「……申し訳ありません」


言われてみれば、確かにそうだ。

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