溺愛副社長と社外限定!?ヒミツ恋愛

「ともかく、どういうつもりなのかは知りませんが、あなたの隣でライブを鑑賞するつもりはございませんの。失礼するわ」

「ま、待ってください!」


歩き出そうとしたお母様の腕をむんずと掴む。
触られるのも嫌みたいだ。
お母様は私の手を見て顔をしかめていた。

まだくじけるな。
まだ頑張るぞ。
ひとまず手をパッと放す。


「せっかくのチケットを無駄にしてしまうんですか? 今日がラストステージ。次はいつあるかわかりません。それでもお帰りになりますか?」


嫌らしくチケットをひらひらとさせた。
お母様の顔がみるみるうちに曇っていく。
私が手にしているチケットが焼け付いてしまうのではないかと思うほど、強く見つめる。
葛藤していることは、はた目から見てもわかった。


「わかりました。今回は、今回だけはそうしましょう」


――やった!
お母様の結論に、心の中でガッツポーズをした。


「ありがとうございます」


まずは第一関門突破だ。

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