溺愛副社長と社外限定!?ヒミツ恋愛
特設会場は、入口に続く人の列と同じくらい混雑している。
グッズを選ぶ人もレジで会計を待つ人も、思い思いの物を手にしては色めき立っていた。
「ちょっと失礼しますわよ」
舞子さんは、その人垣をものともせずにぐいぐい突き進んでいく。
少しでも嫌な顔をされようものなら、鋭い眼光で威嚇。
当然ながら、睨まれた人は白旗を揚げるしかない。
代わりに私が「すみません」と方々に頭を下げながら、ようやくグッズが見渡せるところまでやってきた。
お揃いの赤いTシャツに身を包んだスタッフが、忙しなく商品の案内や補充をしている。
そのうちの女性スタッフにターゲットを絞った舞子さんは、「ちょっと、そこのあなた」と彼女を呼び止めた。
「はい、なんでしょうか」
「ここにある商品を全て三つずついただけるかしら」
「はい!?」
女性スタッフだけでなく、私もつい声を上げてしまった。
「聞こえなかったかしら? ここにある商品を全部三つずつくださる?と言ったの」
「三つずつ、でございますか?」
呆けたような顔でスタッフが聞き直す。