溺愛副社長と社外限定!?ヒミツ恋愛
舞子さんは立ち上がって「きゃー!」という、少し重低音の黄色い声を上げた。
その異様な光景に、私は声も出ない。
恐ろしいラスボスが、少女のようにキラキラとした目をしているのだから無理もないだろう。
「あなた、立ちなさいよ」
不意に舞子さんが私を見下ろす。
仰ぎ見てみれば、私のうしろには人の壁ができていた。
みんな立ち上がっているのだ。
「ほら、なにをしているの」
舞子さんに腕を引っ張られる格好で立ち上がる。
そうこうしているうちにステージ上は色とりどりの光に包まれた。
その中にアーティストが現れると、歓声はいっそう大きくなる。
彼が歌い出すと、舞子さんはそれに合わせて口ずさんでいた。