溺愛副社長と社外限定!?ヒミツ恋愛

◇◇◇

「またこちらでお世話になることになりました」


ずらりと立ち上がって並んだ企画部員の前で頭を下げる。


「いやぁ、よかったですよ。上川さんのポジションを空けておいた甲斐があったというものです」


岸本部長は目尻にしわを寄せた。

京介さんのお母様の怒りが解け、私はまた本社の企画部へ戻って来たのだ。

客室係として働いたのは、わずかに一ヶ月。
心機一転やり直そうという気持ちになっていただけに、出戻りに迷いがなかったわけじゃない。
そんな私の背中を力いっぱい押してくれたのは、ほかでもなくキャプテンの井森さんだった。

副社長である京介さんとうまくいったことを誰より喜んでくれたのも、彼女だった。


「新しいホテルの計画も進んでいますから、これまで以上に忙しくなりそうですよ」


岸本部長の言葉に部員がそれぞれ頷く。


「っていうか、最初誰かと思いましたよ」


荒野くんの言葉に、みんなも「ほんとほんと」と物珍しそうに私を見た。

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