溺愛副社長と社外限定!?ヒミツ恋愛
企画部への異動を機に眼鏡をやめてコンタクトにしたのだ。
ナオミに化けていたときほどバッチリではないにしろ、メイクにもトライ。
そんな風にして出社するだけで、気持ちに張りが出る。
「今まで眼鏡の印象が強すぎて気づきませんでしたが、上川さんって美人さんだったんですね」
「やめてよ」
荒野くんがまじまじと見つめるものだから、照れ隠しにその肩をパチンと叩いた。
大袈裟に痛がる荒野くんを見て、部署のみんなから笑い声が上がる。
「でもほんと良かったですよ、上川さんが戻ってくれて。上川さんの仕事、俺がほとんど被ってましたから」
「ごめんね、荒野くん」
私の仕事をまるまる引き受けてしまったら、相当な負担だっただろう。
荒野くんはホッとしたような表情を浮かべた。
「早速ですが、新ホテルの作業工程の作成、上川さんに戻してもいいですよね?」
デスクの引き出しからファイルを取り出し、ニコニコ顔で私に手渡す。
「はい、承ります」