溺愛副社長と社外限定!?ヒミツ恋愛
京介さんが改めて挨拶をすると、テーブルを挟んで前に座った両親は「いえいえ!」と揃って首を横に振った。
顔には張り付いたような笑顔。
極度に緊張しているのはわかった。
「それであの……副社長さんがわざわざおいでになったのは……?」
「もしかして、私が美緒奈に『買収はなんとかならないものか』なんて言ったから? まさか買収がなくなったっていうの?」
お父さんに続けてお母さんが不安そうな口ぶりで尋ねる。
「あ、違うの……」
答えながら京介さんの顔を見る。
「実は、美緒奈さんとは少し前からお付き合いをさせていただいております」
彼は姿勢を正し、ふたりを真っ直ぐ見据えて言った。
いっさいぶれることのない真摯な横顔が、なんだかくすぐったい。
「……美緒奈が副社長さんと?」
信じられないといった様子でお母さんが聞き返す。
私と京介さんを交互に見つめる目に驚きが滲んでいた。