溺愛副社長と社外限定!?ヒミツ恋愛

中には、実際にあまり構わないでほしいというお客様もいて、その線引きが難しいと、よくこぼしていたことを思い出す。
民宿ならではのアットホームさが仇になる場合もあるのだ。


「でも素敵なご両親だよ」

「そうですか? がさつでちょっと恥ずかしいです」


緊張した様子で京介さんに接していたことが、幻だったんじゃないかと思ってしまう。
食事の最後の頃には、すっかり自分の息子気分だった。


「そんなことはないよ。家族にしてもらえたみたいで嬉しかった」


京介さんは顔を綻ばせた。
そう言ってもらえると、なによりも嬉しい。


「ここがなくなって残念がるお客様もたくさんいるだろうね」

「そうですね、常連のお客さんは結構いたので……。その分、今まで以上のル・シェルブルをここに造ってください」


それが両親にとっても楽しみなことだろうから。


「責任重大だな」

「そうですよ。私も楽しみにしてますから」

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