溺愛副社長と社外限定!?ヒミツ恋愛
「美緒奈、結婚しよう」
言うなり、唇は塞がれた。
さっきまでのキスが子供だましだったかのように感じるほど濃厚で、気持ちの高まりをセーブすることができない。
頭の中は真っ白。
京介さんのこと以外に考える余地はなかった。
倒れ込むような格好で、ベッドに横になる。
キスが唇から首筋へと移動したときだった。
ドアがノックされ、こちらの返事も待たずに扉が開かれた。
「京介さーん、あのね」
お母さんだった。
私たちを見て驚きに固まったあと、「ご、ごめんね!」と弾かれたようにドアを閉める。
京介さんはベッドから急いで起き上がり、ドアを開けて「違うんです」とお母さんを呼び止めた。
「美緒奈さんが具合が悪いというので、ちょっと熱を測っていただけなんです」
かなり苦しい言い訳だ。
珍しく焦っている京介さんを見て、胸の奥がなんだか温かくなる。
洋服の乱れを直しながら、私もベッドの上に起き上がった。
「そ、そうなの? それならいいんだけど……。で、美緒奈は大丈夫なんですか?」
「うん、大丈夫だよー」
部屋の中から答える。
こちらを向いた京介さんは苦笑いだった。