溺愛副社長と社外限定!?ヒミツ恋愛
「上川さんをお願いします。彼女は実務的なことを担ってくださっていますので」
俺がそう言うと、やっと納得したらしい柳川さんは、「かしこまりました」と頭を下げて部屋を出ていった。
数分後、柳川さんに伴われて美緒奈が副社長室へやってきた。
彼女を残し、柳川さんが下がる。
すると美緒奈は心許ない顔で俺を見た。
それもそうだろう。
こうしてここへ呼びつけたのは初めてだからだ。
「あの、例のシステムのことと言われて来たのですが、私でよろしいんですか?」
どうしたらいいのか、かなり戸惑っている様子だった。
そんな彼女に近づき、その手を取りおもむろに引き寄せる。
美緒奈は小さく「えっ」と声を上げた。
冷静に話をするつもりが、彼女の顔を見たら堪らなく抱きしめたくなってしまった。
「……副社長?」
「ふたりだけのときは名前でいいから」
「……どうかしたんですか?」
美緒奈はポカンと俺を見上げた。
どうしたもこうしたもない。