溺愛副社長と社外限定!?ヒミツ恋愛
「美緒奈の本当の素顔を誰にも見せたくないなんてな」
「……京介さん?」
「社内で美緒奈の噂話を聞いて、ちょっとイライラしてた」
本来ならば、優越感に浸るところだろうに。
間違った方向に進む感情を持て余して、どうにもならなくなっていた。
「私の噂話ですか?」
「美緒奈が綺麗だって噂話。美緒奈を誘うって意気揚々とね」
今思い出しても胃の奥から得体の知れない黒い塊が持ち上がってきそうになる。
美緒奈は俺の腕の中で顔を上げた。
「私の心は京介さんに独占されていますから。これ以上、独占しようがありません」
満面の笑みで言う彼女が愛しくなり、柔らかい唇に自分の唇を重ねた。
驚いたのか、美緒奈は一瞬だけ体を引いたが、すぐに俺に身を委ねた。
わかっていたくせに。
美緒奈がそんな誘いに乗ることなどないことは。
その自信の裏で、時に不安が押し寄せる。
幸せだからこそ、壊れる時が無性に怖い。