溺愛副社長と社外限定!?ヒミツ恋愛
人には得手、不得手というものがある。
社交的な場は、私がもっとも苦手とするところだ。
「もちろん知ってるよ。合コンは今まで一度だって来た試しはないし、同期会でさえめったに顔を出さない。美緒奈がこういった華やかな場を苦手としていることは、私もよーくわかってる」
亜樹が艶のある厚めの唇を突き出す。
それなら、私じゃなく別の人に譲ったらいいのに。
亜樹じゃなくとも、セレブが集まると聞けば、我先にと希望者が殺到するかもしれない。
気の乗らない私にあげるより、ずっと有効価値が高まるというものだ。
「だからなおさら美緒奈に行かせたいの」
どういうことなのか。
身を乗り出してきた亜樹に首を傾げた。
「二十八歳にもなるのに私生活は女を感じさせない過ごし方だし、当然ながら男の影もない。そんな美緒奈のことが、私は心配で仕方がないの」
なんだそんなことかと、椅子の背もたれに身体を預けた。
「私は別にそれで困っていないから」
「せっかく女に生まれたのに」
亜樹が口をへの字にする。
もっとこぎれいにしろと言いたいらしい。