溺愛副社長と社外限定!?ヒミツ恋愛
「これがプライベートのナンバーだから」
私の手を取り、手の平にのせた。
「連絡待ってる」
副社長はそう言うと、車に乗り込んだ。
窓越しに手を振られ、つられるようにして指先で軽く振り返す。
ゆっくり発進した車のテールランプが見えなくなっても、私はしばらくその場から動けなかった。
どのくらいそうしていたのか、茫然としたまま、ただ惰性で足を出す。
気づいたときには、アパートの部屋だった。
タワーマンションからの道のりの記憶はない。
テーブルの脇には、昼間、亜樹が口を結んだゴミ袋が無造作に置かれていた。