溺愛副社長と社外限定!?ヒミツ恋愛
「どこかのセレブと知り合えた?」
「……うーん……」
「なによ、気を持たせないで教えてよ。もしかして石油王とか言っちゃったりする?」
首をぶんぶん横に振った。
それっぽい人は、いたことにはいた。
でも私はアラブの言葉を話せない。
挨拶すら交わせなかった。
「それじゃあ、政財界のプリンスとか」
「そういう人たちも来てたの?」
「もちろん。だから行きたかったんだよね。まぁ、別の機会もあるからいいけど」
頬杖を突き、亜樹はふふっと笑った。
普通だったら手に入りにくいチケットを亜樹が手に入れられるのは、彼女の父親が官僚として勤めているためだ。
つまり、彼女自身もれっきとしたセレブなのだ。
おじいさんも官僚を勤めていたそうだから、先日の法事はきっと盛大な三回忌だっただろう。
「それで?」
亜樹が話を元に戻そうと質問を繰り返す。
「……それでって?」
誤魔化したところでどうにもならないことは、今までの経験からわかっていた。