溺愛副社長と社外限定!?ヒミツ恋愛
周りに人がいないか確認してから、亜樹に顔を近づけた。
「副社長」
耳元で小さく言うと、亜樹は「え!?」と目を剥いた。
大きな目が落ちてしまいそうになる。
「副社長って、芹川副社長のこと?」
私が頷くと、亜樹は「えー! 彼が来てたの!?」と声のトーンを上げた。
「やっぱり私が行きたかった」
亜樹が恨み節を言う。
今さらそんなことを言われたら、私だって困る。
半ば強引に行かされたのに。
「副社長とお近づきになるチャンスを逃したかぁ」
がっくりと肩を落とした。大きなため息まで漏らす。
同じ社内にいる亜樹なら、いつだって近づける機会はあるだろうに。
容姿も家柄もいい亜樹なら、副社長とつり合いも取れる。
「それはそうと、また会う約束をしたのが副社長なの?」
私の腕を掴む。
顔を近づけて目を見開いた。