溺愛副社長と社外限定!?ヒミツ恋愛
膨れあがった想い
副社長に想いを告げられた夜から、私のスマホには彼からのメールがまめに入るようになった。
メールではもどかしくなって、電話に切り替わることもしばしば。
このままではいられないとわかっていながら、彼の声を聞いた途端に都合の悪いことは隅の方へと追いやってしまう。
あともう少しだけ。
その想いに打ち勝つほどの意志がなかった。
『会いたい』といつ言われても平気なように、亜樹のメイクアップ動画を見ては練習を重ねていた。
そうして二週間が過ぎた頃、以前、副社長から話のあった顧客情報を集約するシステムに関連したプレゼンが行われることとなった。
情報システム部が主催するプレゼンには、副社長はもちろんのこと、企画部の部長、そして私も議事録を作成する目的で出席する。
会議室には、副社長を除くメンバーがすでに顔を揃えていた。
そして、開始時刻から十分が過ぎたときだった。
「上川さん、副社長にちょっと内線を入れてもらえないですか?」
企画部の岸本部長が顔を上げて私を見る。
忙しさで忘れてしまっているかもしれないとのことだろう。
すぐさま立ち上がり、会議室の隅に置かれた電話の受話器を取った。