溺愛副社長と社外限定!?ヒミツ恋愛

『すぐに行きます。みなさんにもお待たせして申し訳ないとお伝えください』


彼はすぐに切り替え、電話を切った。
通話が切れても、受話器を戻すことすらできない。


「上川さん? どうかしましたか?」


不審に思った岸本部長が私に声を掛ける。


「……いえ、副社長はすぐにいらっしゃるそうです。お待たせして申し訳ないとおっしゃっていました」


早口でそう告げながら自分の定位置へ着く。
それからすぐに到着した京介さんは、私を数秒見たあと、さっと視線を外した。

その数秒間は息もできないくらいの張りつめた空気だった。
ただそれは、私が勝手に感じているだけであって、副社長に深い意味はなかっただろう。


「それでは早速始めさせていただきます。まず、こちらをご覧ください」


システム部長がプロジェクターを操作し、ロールスクリーンを差し棒で示す。


「お手元の資料では二ページです」


議事録担当の私も資料をめくる。

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