溺愛副社長と社外限定!?ヒミツ恋愛
ただ、告白に返事をしていない私は、自分の腕を彼の背中に回せない。
そうしてしまったら、止められなくなりそうだったからだ。
しばらくそうしてから京介さんは私を引き離し、車へ乗せてくれた。
フロントガラスから見えるのは、白い雲がいくつか浮かんだ青空。
海へ行くには絶好の日だ。
車は高速を気持ちよく走っていく。
「ナオミはどんな仕事をしてるの?」
唐突な質問は核心を突いていてヒヤッとしてしまう。
「……普通の会社員です」
いろんな会社が思い浮かんだが、ひと言で済ませた。
「事務系?」
「そう、ですね」
「なんていう会社か聞いてもいい?」
「あ、でも、そんなに大きくないので、聞いてもきっと京介さんはわからないと思います」
早口で答える。
本当の自分を隠すために、またひとつ嘘を吐いてしまった。
心臓に悪い。