溺愛副社長と社外限定!?ヒミツ恋愛
「カニがいるんですか?」
「小さいけどね。探してみる?」
京介さんが声を弾ませる。
頷くと、彼は嬉しそうに笑った。
不安定な足元を気遣うように、京介さんが私の手をぎゅっと握る。
「大丈夫?」
何度となく私に声を掛けながら、比較的安定した岩場へと着いた。
大きめの岩に揃ってしゃがみこむ。
京介さんは波が寄せては引く割れ目をじっと見ては、手を伸ばしていた。
「おっかしいな。なにもいない。こういうところに隠れてるはずなのに。こっちか?」
すっかり夢中になってしまった京介さんは、場所を移動しながらカニ探しを始めた。
近くにいた小学校低学年くらいの男の子が「こっちにいるよ」と京介さんに声を掛ける。
すると、目を輝かせて男の子のそばに膝を突いた。
「ほら」
「――ほんとだ。よし、俺が捕まえるぞ」
海水をものともせず、水に手を突っ込む。
京介さんはそのまま手を引き抜くと、「ナオミ!」と私を嬉しそうに呼んだ。