溺愛副社長と社外限定!?ヒミツ恋愛
押し寄せる波が私たちを濡らす。
ふたり揃って、腰から下が海水に浸かってしまった。
突然の出来事に放心状態の私たち。
しばらくすると、京介さんは豪快に笑い出した。
それを見て、私も笑いが込み上げる。
冷たさも不快感も吹き飛んでしまった。
「おにいちゃんたち、大丈夫?」
男の子が心配そうに私たちを見ていた。
「ああ、大丈夫だ」
京介さんは先に岩場に上がると、私のことを引き上げてくれた。
「ビチョビチョじゃん」
目を丸くする男の子に「そうだね」と答え、私たちは顔を見合わせてもう一度笑った。
こんなに笑ったのは久しぶりのような気がする。
ひとしきり笑ったあと、今度は揃ってクシャミが飛び出した。
夏はまだもう少し先。
五月の太陽では、さすがに海水温を上げるには不十分だ。
冷たくなった下半身に思わず震えた。
「どこかで洋服を乾かした方がよさそうだね」
「すみません……」