溺愛副社長と社外限定!?ヒミツ恋愛
京介さんが立ち上がってこちらへやってきたものだから、全身が硬直してしまった。
そんな私の脇を京介さんが通り抜けていく。
「俺も浴びてくる」
ポンと私の頭を撫で、バスルームのドアを閉めた。
そこで、息を大きく吐き出す。
無意識に呼吸を止めていたみたいだ。
変に意識しているのは私の方だけ。
ふにゃふにゃと力が抜けた状態でソファに身体を投げ出した。
「あぁ疲れたー」
思わず声も出た。
京介さんがそばにいると思うと、全身に変な具合に力が入ってしまう。
その上こんな状況なのだ。
緊張しない方がおかしい。
これなら、自宅でひとりゴロゴロと過ごした方がよかったかもなんて、亜樹が聞いたらきっと怒るだろう。
だらけた身体をシャンとさせ、背筋を伸ばした。
窓からはいい具合に傾きかけた太陽が、穏やかな光を部屋に伸ばしている。
ほどよく温まった身体と心地良い日差しのせいか、伸ばしたはずの背中が次第に丸まってくる。
ソファにもたれてぼんやりとまどろんでいると、瞼がどんどん重くなっていくのがわかった。
何度となく見開いてみても無駄な努力で、そのうち本当に堪えられなくなってくる。
こんな状況なのに眠くなるとは、私の女子力のなんと低いことか。
日頃のぐうたらぶりが、こんなところで発揮されるなんて。
そんなことを考えながら、ふわふわとした心地の中に身を置いた。