溺愛副社長と社外限定!?ヒミツ恋愛
柔らかく微笑みながら、京介さんが乱れているらしい私の髪を指先で直す。
「ひとり置いていかれる夢を……」
「俺がナオミを?」
コクンと頷く。
「心配しないで。置いていったりしないから」
私の横に座った京介さんは、私の頬に手を伸ばしてきた。
私の頬が冷たいのか、それとも京介さんの指先が温かいのか。
ほっとする温もりだった。
悪い夢が私から体温を奪っていったのかもしれない。
私の頬を撫でる彼の手に、自分の手を重ねる。
私は“ナオミ”じゃない。
彼の前にいる私は、全部が作り物。
それがいつまでも通用するとは思わない。
それでも、今このときに感じる京介さんを手放したくないと思ってしまった。
嘘でもいい。
そばにいたいと願ってしまった。
「好きです」
膨れ上がった想いが自然と口から出る。
もう押さえ込んではいられなかった。