溺愛副社長と社外限定!?ヒミツ恋愛

京介さんは目を大きく見開いたあと、三日月のように目を細めた。

そっと重なる唇。
反応を確かめるように控えめだったキスは、少しずつ深くなっていく。
脳内が痺れ、身体が熱くなる。
気を確かに持つことさえ困難だった。

京介さんが私を抱き上げる。
その先のことは、いくら恋愛から遠ざかっていた私でも簡単に予想がついた。

ベッドに下ろされれば、もう後戻りはできない。
――するつもりもない。

絡められた指先に力が込められる。
私を見下ろした京介さんの視線が痛いくらいに熱い。
バスローブを結んだ紐に手がかかる。

それがゆっくりと解かれていくときだった。
部屋の中で着信音のような軽快な音が鳴り響いた。
私のスマホではない。
ということは、京介さんのものだ。

最初こそ無視していた京介さんは、鳴り止まない音に渋々といった様子で「ごめん」と私から離れた。
テレビ台に置いてあったスマホを手に取り、ドアの方まで歩く。
声のトーンを抑えて話し始めた。

横になったまま待つのもどうかと思い、バスローブの乱れを整えて起き上がる。

一分と経たずに戻った京介さんは、私のそばにため息を吐きながら腰を下ろした。


「ごめん」


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