短編集(ホラー)
と言うことで…。

―ガチャリ―

私は持っていた合鍵で、珍しくかけられていた鍵を開けた。

家の中は全くの無灯だったので、とりあえず片っ端から電気をつけることにした。

手始めに玄関の明かりをつけ、3人はバラバラになった…。

一つずつ一つずつ、自分が担当になった場所の明かりをつけていく。

それはちょうど私がリビングの後ろにある和室の明かりをつけた時だった。

「ぅわぁぁあぁぁ!!」

Rの叫び声に、私たちは階段下までかけつけた。

「何これ…。血?」

3人で見上げた階段には、所々に赤い痕がついていた。

「これ上に続いてるみたい。」

そう言って、Sはゆっくりと階段を上り始める。

「止めようよ…。」

怖くなった私は、Sの服の裾をひきながら言った。

「何か嫌な感じがするし…。これが本物の血の痕なら警察呼ばなきゃ。」

「大丈夫だって!これ、ペンキだし。」

「どうやってわかったの?」

「血は乾くと赤黒くなる。でもこれは鮮やかな赤のまま…。」

「なら、Kのいつものイタズラってこと?」

「ペンキか何かで作ったんだろ。」

Kはたまに私たちを驚かそうと、色々なイタズラを仕掛けてくることがあった。

だからその時も、単なるイタズラだと納得してしまった。

作られた血のような痕に気味悪さを覚えながらも、その赤色が続く場所、つまりはKの部屋へと私たち3人は進んだ…。
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