珈琲はブラックで。


それは俺の目の前にいる彼女……紗綾なのだ。


多分紗綾はそんな事知らないだろうし、感じてもいないだろう。


「へぇ、悠彼女いたんだね。ずっと一緒に居るのに、知らなかった」


眉を下げ寂しげに、紗綾は微笑んだ。


そして、少し伸びた横髪を指に絡ませ無言になった。


それは、紗綾が不機嫌になったという合図。


昔から変わることのない、癖だ。

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