珈琲はブラックで。


だけど、それはきっと“嬉しい”とか“楽しい”などの微笑みではなく、ただ“悲しい”と言うような笑だった。


「紗綾」


その笑は、とても綺麗なもので胸が痛むようなそんなものだった。


手を伸ばし、紗綾の頬に手を添える。


「悠」


すると紗綾もまるで俺の体温を感じるかのように、目を閉じた。


いつからか伸ばし始めた髪の毛が、手に触れ少し擽ったい。


「どうしたの、紗綾。変だ」

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