四季物語
そんなあたしは、春が始まったばっかの頃、
そのお花畑に行った。

まだ少し肌寒かったけど、
まだ花は6分咲きって感じだったけど、

寒いのに頑張ってる花が、
小さいのに背筋のばしてる花が、
健気で可愛かった。

春の本番よりも、ずっと、
1つ1つの花は輝いてる。
頑張ってる。
立派だと思う。

この時期は、誰もここに来ない。
だからここはあたしの砦。
あたしが自由に出来る場所。

あたしは、所々に花が咲く草原に、
両腕両足を広げて寝転がった。

暖かな春の風。
運ばれてくる桜の花びら。
鼻腔をくすぐる花の香り。
太陽の暖かな光・・・・・・・・・。

全部を体いっぱいに感じて、
あたしは幸せいっぱいになった。

その時、
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