秘密の交換をしよう
「凛、立てる?」
私は頷いて立とうとしたけど、腰が抜けてたみたいで、立てなかった。
すると、香織ちゃんが優しく支えてくれた。
「ありがとう」
こうやって支えてくれたことだけじゃなくて、ほかにもたくさんのことのお礼も込めて、微笑んだ。
「気にしないで。友達なんだから、これくらい当たり前だし」
目頭が熱くなってきた。
今度は絶対、嬉し涙だ。
でも、流さないように我慢して、もう一度笑って見せた。
翌朝、山崎は学校に来ていなかった。
「えー、山崎は昨日をもって、この学校を転校した」
SHRで、担任が教えてくれた。
それに対して、嘘だって言う人が何人もいた。
私もその一人だった。
みんなとは意味が違ったと思う。
でも、そう思ったのは確かだった。
「センセー、なんでもっと前に教えてくれなかったの?」
「山崎に誰にも言うなって口止めされてたんだよ。しんみりした空気が嫌いだからって」