秘密の交換をしよう
よん。
「……これが、私の過去……です」
みんなの反応が怖くて、膝の上に置いていた拳を握る。
どれだけ待っても、誰もなにも言わなくて、少し目線を上げると、机の上のコップの中身が目に入った。
数十分は話したと思うんだけど、三人ともほとんど減ってなかった。
それだけ、集中して聞いてくれたんだと思うと、なんだか嬉しかった。
「凛……どうして、話してくれなかったの? あたし、そんなに頼りなかった?」
沈黙を破ったのは、香織ちゃんだった。
香織ちゃんは目に涙を浮かべて、今にも泣き出しそう。
「違うよ。誰にも心配かけたくなかったし、同情されたくなかったの」
「あたしは、凛に心配かけられたって、問題なかった」
「あたしだって、同じだよ。リンリンの苦しみをもっと、軽くしてあげたかった」
美穂ちゃんはもう、涙を流していた。
「ありがとう。でもね、二人が私のそばで笑ってくれてるだけで、私の苦しみはなくなってたの。だから、これからも笑顔でいてくれたら嬉しいな」
私はいつも通りの笑顔を作ったつもりだった。
でも実際は、頬に一筋の涙が流れていた。
それに気付いた隣に座っていたハルさんが、私の頬をなぞった。