秘密の交換をしよう
「まあ、それはまた今度聞くよ。とにかく、おめでとう、凛」
「そうだよ! おめでとう、リンリン」
根掘り葉掘り聞かれるのは嫌だなと思ったけど、二人にこうやって言ってもらえるのは、嬉しい。
「ありがとう」
私はいつも以上の……というより、心から笑顔でいられた。
「で、幸せな空気に水指すようで悪いけど、これからどうする? 山崎のこと」
そうだった。
山崎と再会してしまったから、みんなに話そうと決意したのに、頭から消えていた。
香織ちゃんの言葉を境に、部屋に沈黙が訪れた。
「あたしの予想なんだけど……」
美穂ちゃんは独り言のように呟いた。
「その山崎って人、本当はリンリンのこと、好きだったんじゃない?」
「……どうしてそう思うの?」
「多分だけど、最初は本人が言った通り、上手いこと好かれようとしたんだと思う。でも、いじめが行き過ぎたから、自ら悪者になろうとしたのかなって」
その意見に賛成は出来なかったけど、言われてみれば、そんな気もしてきた。