秘密の交換をしよう
「あたしは、山崎って人としっかり話し合うべきだと思う。二人きりが嫌なら、誰かを交えてもいいし」
「なら、あたしが──」
私が口を開くよりも先に、香織ちゃんが手を上げた。
だけど、それをさらに遮ったのは、ハルさんだった。
「いや、俺が行くよ。宮原さんは感情的になりやすいみたいだから、余計こじらせてしまうだろうし」
香織ちゃんはハルさんの言葉に言い返そうとしたけど、なにも言わずに俯いてしまった。
「善は急げって言うしな。早速明日、俺と凛、山崎の三人で話そう」
ハルさんは私の不安を取り除くように、優しく頭に手を置いた。
本当に心が軽くなったような気がして、私は首を縦に振った。
なんとも言えない気持ちのまま、次の日を迎えた。
山崎に今日のことを伝えることで頭がいっぱいになって、仕事が疎かになりかけた。
なんとかハルさんがサポートしてくれたけど……
それがなかったら、仕事で失敗するところだった。
キリがいいところで各々昼食をとることになり、チャンスだと思って、山崎のところに行こうとした。