秘密の交換をしよう
でも、私と山崎の間に、ハルさんが割り込んだ。
「山崎さん、一緒にお昼どうですか? 一ノ瀬さんも交えて」
山崎は驚いた表情を浮かべていたが、ハルさんの誘いを受けた。
ハルさんが作ってくれた機会、上手くいくといいな……
お昼は会社の近くにある定食屋になった。
入れるお客は二十人程度と、割と小さめなお店だ。
五十年近く続いているらしくて、懐かしさを感じさせる内装。
「そう言えば、俺と一ノ瀬を会わせるようなこと、しても……?」
注文をし終え、山崎は水を飲みながら聞いてきた。
山崎の目に写っているのは、たぶんハルさん。
私が答えなくてもいいと思って、少しずつ水を喉に通していく。
「山崎さんと一ノ瀬さんが一緒に食事をするのはこれが最後ですよ。ね、一ノ瀬さん?」
急に呼ばれて、私はハルさんの顔を見た。
私の不安というか、恐怖というか……
そんな感じの感情を読み取ったのか、ハルさんは優しく手を握ってくれた。