秘密の交換をしよう
だから、私のことを思って……?
「で、二人がヨリを戻したりしないように、俺が当て馬にされたってわけです。全く……あのわがままはいつ治るのか」
翼君は呆れた顔だ。
「さっきの電話は?」
「一ノ瀬さんをちゃんと……あ! 一ノ瀬さん、結木さんの家知ってますか!?」
「知ってるけど……」
私は翼君の勢いに押されて、のけぞった。
「早く行ってください! ヒメさん、結木さんを襲うつもりです!」
翼君は半ば無理やり私を立たせ、家から追い出した。
「頑張ってくださいね」
翼君の家を出た私は、無我夢中でハルさんの家に向かった。
何度も人にぶつかったし、僅かな段差につまずいたりしたけど、足を止めようなんて、思わなかった。
「ハルさん!!」
家に着くと鍵が開いていたから、私は勝手に入った。
息は切れてるし、汗はかいてるしで、お世辞にも綺麗と言えるような容姿ではないけど、家の中に飛び込んだ。
ソファーの上でハルさんは寝転がり、さらにその上に姫鈴さんがいた。