秘密の交換をしよう


「俺はあんたが思っているような人間じゃない。気に入らないなら、クビにでもなんでもすればいい。ただ、凛をクビにするのは許さない」



姫鈴さんは歯を食いしばって、言葉を探しているように見えた。



「……姫鈴のことが目に入ってない男性なんて、こちらからお断りですわ!」



姫鈴さんは部屋を飛び出していった。



久々の、ハルさんとの二人きり……



気まずい。



「どうしてここに?」



私の顔を見てくれなかったけど、ハルさんの口調はどこか優しげだった。



「翼君に、真相を聞いて……」


「翼君、ねえ……」


「ハル……さん?」


「俺、今から自分勝手なこと言うから。黙って聞いてろよ?」



ハルさんがソファーを叩くから、私はそこに座った。



「バイトなんかと仲良くなってんじゃねーよ。俺以外の男の下の名前なんか、呼ぶな。俺以外の男と仲良くなるな。凛がほかの男と楽しそうにしてるの見ただけで、気が狂いそうになる」


「……随分自分勝手ですね」


「そう前置きしただろ」



ハルさんは恥ずかしそうに、顔を赤らめた……わけはなく、逆に開き直っていた。

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