秘密の交換をしよう
まだ朝礼が終わっていないのに、もう質問攻め。
男性陣は困り顔というより、呆れ顔だ。
私も、呆れ顔かな。
「遥真ですよ。彼女は残念ながら。僕はオムレツが好きです」
とまあ、笑顔で丁寧に答えるもんだから、みんなさらに頬を紅潮させる。
「あのー……朝礼、終わり……ですか?」
早く仕事に取り掛かりたくて、私は小さく手を挙げた。
先輩たちの視線が痛い。
邪魔するな、と。
邪魔をしているつもりはないんだけどな……
「すみません。終わりです」
今度は申し訳なさそうに笑った。
よく表情がそんなに変えられるなあ……
むしろ、常に笑顔でいるから、逆に胡散臭いように思ってしまう。
「わかりました」
ここで無表情で答える、なんていうクールな技は私には出来ない。
そもそも、そんな技は持ち合わせてない。