秘密の交換をしよう
でも、姫鈴さんのアプローチは、女子何十人分だと思う。
人数は減っても、大変さは変わらなかったんだろうな。
「見た目で言うなら、一ノ瀬さんもモテてそうですよね」
「あー、そうですね。でも、凛は恋愛に興味なしだし、高嶺の花扱いされてて、告白なんてされてないんですよ」
もう敢えてなにも言わないでおこう。
私がモテるとか、高嶺の花だとか、ありえないような言葉が飛び交っているけど、ここで反論したって、認めずに天然だとか言われるのがオチ。
そう諦めたタイミングで、料理が運ばれてきた。
飲み物はそれぞれの前に、お酒のおつまみはテーブルの真ん中に置かれた。
「いただきます……」
本当に会話に入れなくなって、私は料理を食べることにした。
「凛はこう見えてしっかりしてますよ」
なんの話だ。
それに、こう見えてってちょっと失礼だと思う。
もう本格的に会話に入れなくなって、私はひたすら食べたり、飲んだりした。
対してお酒が強いわけでもないのに。