秘密の交換をしよう
「終電ないのに?」
「なら、タクシーで」
「凛ちゃんは僕に迷惑がかかると思ってるでしょ」
全ての返答が綺麗にかわされる……
というか、私なんて、迷惑以外の何者でもない。
結木さんの言った通りだから、私は首を縦に振る。
「僕、半熟の目玉焼きが食べたいんだー」
唐突にイケメンが駄々こねだした……
ってそうじゃなくて、私にどうしろと。
「ご自分で作られたら……」
「違うから。悪いと思ってるなら、お詫びに作ってって意味だから。もしかして、料理出来ない?」
「そういうわけじゃ……」
それならそうと、はっきりと言ってくれたらいいのに。
「台所、お借りしますね」
「ごめん、今じゃない。明日の朝食べたいの」
もしかして、わがまま言われてます?
それに、本当に結木さんなの?
昼間の結木さんと同一人物?
ちょっと甘えすぎじゃありません?