17のとしに
 …無駄ではない。無駄ではないが、すぐに現実に引き戻されてしまった脱力感がある。彼らにも告げられたが、もう俺が推し進めている中学の同級生の仲良しはもういない。当たり前といえば当たり前だ。俺らは中学生ではなくその後に進路を決めた高校生なのだから。机の近くに置いてある灯りをつけて、俺は勉強を始めた。
 これが、現在のヒロ、佐伯誠也ということは変わりない。しかし「ヒロ」はいない訳ではない。

 戻りたい、やり直したいと思っていても今まではあまり伝えなかった。仲良しの5人では無く、ただ小沢初らと本名で呼ぶ関係に戻りたいと思う。リトこと奈央が本名を使いたがらないから初もあのときの呼び方を使ってしまうのかなと考える。もうクラ…春希、姫…まなみとも奈央や初は関わりが無いようだ。今日の話を聞くと。まあ、そりゃあ、約束を気持ちを裏切られたらこんな幼い俺らでは嫌いにもなってしまうだろう。でも奈央も、そしてまなみも幼さにしがみつきたい部分があるところは否めない。悪い意味で過去に執着してしまっているのではないか、と俺は考えていた。直接伝えることはまだしないけれど。
 数時間机に向かっていた。次第に頭がじんじんとして機能しなくなってきていた。なにか飲み物を摂取しようと、一階の台所へ向かった。ミルクココアでも飲もうかな、とぼんやり考えながら。
 ダイニングルームへミルクココアを求めて行くと、両親と妹が食事をしていた。もうそんな時間だったのか。
「勉強してるみたいだから声かけなかったよ、食べる?」
母親は淡々としていた。俺は頷き、席についた。
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