17のとしに
「まなみちゃん、おはよう」
控えめににこっと彼女は笑った。久々に会ったからか、それとも姫自身が変わっていたからか、なんとなくクラと認識のずれがあるように感じた。
「あ、みんなそろってる」
「私たちだけか!申し訳なーい!」
ごたごたに飲まれながらロスがリトの腕を引っ張りながら登場した。ロスは黒っぽい地味な服装、リトも意外にも同じような地味な服装で長けの短いズボン。
「大丈夫、姫も来たばっか」
「おーおー、初と奈央二人だけの雰囲気って感じじゃーん。このこの」
クラが二人を冷やかし、ロスは一瞬目を見開きリトの腕を放した。
「だって俺ら電車乗り慣れてなかったし、はぐれるとあれだから」
「ね、ロス意外にも優しいんだよ~」
リトはにこにこしていた。クラもなんだあとつまらなそうに口をとがらせた。姫も笑っている。
「んじゃ、どこいこうか」
「カラオケ!」
クラとリトがかぶる。ロスと姫は顔を見合わせて苦笑した。
「俺もカラオケでいいよ」
「…私はどっちでも」
こうなったらカラオケにするしかないじゃないか。団結力というか、なんというか。俺も、笑いながら、
「カラオケ行くか。予約取る?」
「今からカラオケまで行くなら20分くらいだから必要ないだろ」
先ほどの頭の後ろで両手を組むポーズをしながらクラは軽く話す。
「一応電話とっといた方がいいんじゃない?」
とリト。
「まあ、どうせ6時頃の電車で帰るわけだし、ゆっくりしよう」
とロス。姫は困った表情をしながら俺たちの会話を見守る。
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