17のとしに
「あー、俺が恋人と別れた頃だ」
と思い返しているのか斜め上を見ながらロスは呟いた。
「は?」
「え?」
姫と声が重なった。そりゃそうだろう。ロスに恋人がいたっていうのも驚きだし、別れたっていうのもさらに驚きだった。
「あ、話してなかったっけ」
ロスは今しまったと言う顔をした、絶対。俺が口を開こう言葉を準備にしていた時。
「おいたむろしてないで部屋はれよ~、奈央なんて曲選んでるぞ!」
興奮気味なクラの声に今回の話はかき消されてしまった。
 
 ぱっと入室前に決めたことなのだが、3時間カラオケを楽しみ、食事を済ませ、その後近くのショッピングモールへ遊びに行こうという予定だ。
 5人で順番を回し、途中で崩れつつも歌い終わったさんざん歌い終わり、会計を済ませた頃にはもう一日の半分を過ぎていた。リトは少々疲れが見えるがクラは変わらず元気そうだ。会計を済ませ、外に出た瞬間のもわっとした暑さに耐えながら、俺らは少々歩き、ショッピングモールへ向かった。
 ショッピングモールもキンキンに冷えていて安心したが、ここで困るのはものの多さである。
「誰が誰と一緒にいる?」
そこだ。5人で買い物してだいたいのメンバーが得するなんて事はほぼないだろう。修学旅行と同じである。しかも男女5人ときたものだ。何故ショッピングモールにしたのか、一抹の後悔をしていた。

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