17のとしに
 広い室内をきょろきょろしつつ、2人について行った。ロスは慣れた手つきで音楽ゲームをばちばちとプレイし、クラは興奮気味に色々なゲームをプレイしている。ぼーっとしているのももったいないからと近くにあったゲーム機に手を出すが、いまいちうまくできない。…正直あまり楽しくはなかった。経験が少ないせいなのだろうとは思うが。
 しばらく突っ立っていると、ロスがよってきた。
「なに、ヒロやらないの」
「よくわかんないし、あんまり金に余裕ないし」
「そっか。今度アイスでも食べに行く?」
ロスの気遣いに軽く笑いながら
「ありがとう。クラが終わるまで待ってるわ」
「多分、あと少しでなくなると思うから、俺もう一回だけ音ゲーやってくる」
「はいよ」
ロスはきづきやすいようにかよくよくクラの近い場所でゲームを始めた。しかし、1分もしたころ、クラは俺を見つけて戻ってきた。
「あれ、初は」
「あと1回するみたい」
「ふうん」
ロスのほうをぼんやりと見つめながら、先ほどよりも小さめ、かつ低い声で口を開いた。
「…なんで誠也は本名で俺らを呼ぶのにリト、とかロスっていってんのさ」
「中学校の影響というか」
濁すような言い方になってしまった。クラは気にくわなかったようだ。
「本当の友達じゃないみたいだなって感じる」
「…そう言われたら終わりだけど」
クラは顔をしかめたままだ。
「結局救いにもならなかった、俺やまなみはそう思ってるよ」
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