17のとしに
「初はなんぼなの」
「…175センチ」
ヒロのように無駄な油は注ぐまい。事実だけを述べる。外野から「意外と高い」などという声が聞こえる。
「変なこと言わないから許す」
「なんで!?春希理不尽だろ!」
ヒロは割りと自分以下の人間の気持ちがわからないものだ。これは仕方のないことだが

「大人になった感じあるね、クラ」
完全に口の中にチョコバナナがなくなったリトがつぶやいた。
「そう?」
逆にヒロが顔をしかめはじめるがリトはつづけた。
「中学校の頃とかはすぐにカーってなってたじゃんね。ちょっとびっくりしたわ」
思いがけない者の参戦のせいか、数秒だけ時間がとまったような感覚になる。リトは真顔で当然のことをいうような、そんな学校でいる姿と同じだった。自然と俺の目も無駄に開くことをやめた。
「…ならいいんだけど。うれしいわ」
クラも照れ隠しをしたのもわかった。
「身長の話も終わったってところで今日の遊ぶ人わけどうする?」
間も入れずにヒロが話を振る。
「え、5人で遊ぶんじゃねえの」
「広いことだしこないだと同じ理由で別れようというわけです。ビンゴゲームあるからその時に集まるって感じで」
そうするかあということで今度はクラと姫、ヒロと俺たちという感じになった。内心、ヒロの配慮と個人的な気持ちを感じていた。

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