17のとしに
 体感時間2時間が経過したころ、クラや姫、ヒロと合流できた。クラたち並んでビンゴゲームのカードを買っていたようだ。ヒロはひとまず安心した、という顔をしていたから俺も安心しさっきぶりと笑った。一枚100円のビンゴカードを俺らの分まで買ってきてくれた優しさにほっこりと胸が包まれる。気づけばリト、姫、クラは絶対景品当てるぞと意気込み、数枚用意している。俺は申し訳がないので1枚だけもらい、数字のボードが見える前でしゃがみこんだ。それから10数分してビンゴゲームが始まった。
 最前列でビンゴゲームを始めた3人をよそに適当な場所にしゃがみこんでいる俺の近くにヒロが座り込んだ。
「結構探すの長かったよね」
俺の体感時間は2時間だったため正確な時間はわからないがとにかくヒロをねぎらった。
「長かった。並んでたの気づかなくてさ。浴衣来てる女の子たくさんいたし、見分けつかなかったし。だいたいの連絡は来るんだけど人が多くてさ」
「そりゃそうだ。お疲れさま」
「ありがとう」
「ビンゴ、賞品なんだっけか」
がたがたとマイク、景品の確認を担当の人々がしている。ママチャリがあるのは確定だが。
「あ、1回目の1頭はゲーム機、最近でたまだ高いやつ。2回目が米、3回目がママチャリらしい」
「さすが田舎だな」
「本当それ。ママチャリは当てられたら便利だな程度。米持ち帰るの大変だし」
「まあな」
若干の沈黙が流れた。そのうちに調整が終わり、いよいよビンゴゲームが始まった。1回目のビンゴゲーム。30分ごとに行われるらしい。小学生くらいの子供たちはステージの前に大集合していた。ゲーム機目当てだろう。それに小学生ならさすがに8時半には帰らねばなるまい。親の気持ちも考えると妥当だなぁとは考えていた。音割れのするマイクとスピーカーに不快感を覚えながら、ヒロに話しかけた。
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