17のとしに
 しかし、実は気づいていた妹と見くびっていた俺と変わっていない母親と、父親と複雑な感情のむき方が理解できなくなってくる。妹は続けた。
「兄にばかり変な期待とかしてるんじゃないの、私をそうやってしか見れないことは。私だって頑張ってるわけだし、兄ちゃんに対してどう思ってるかは知らないけどさあ」
「なんでそんなこというの、親に向かって何でそんな口のきき方するわけ」
最終手段が来たなぁなんて思っている。妹が俺のことを語るのも嬉しいようなうれしくないような胸に広がる痛みがふらふらと体を浮かせる。そして数十秒後、やってきた。
「そんなこと言っちゃ終わりだよね」
「はあ、どう思う?誠也。何か言ってやってよ」
どくどくとしていた。泣きながら母親と喧嘩する妹を守るべきだと思うが、自分のじくじくとした痛み、感情を処理しきれない。
「あの、あの…」
俺はこういう雰囲気が苦手だ。奈央たちのトラブルがあったときも、春希にあだ名をやめようと言われた時も、どうしようか頭フル回転で悩んだ。それでも、うまく処理はできなかった。何か言おうと口を動かしているとき、母親が
「…紗那に味方する訳?」
呆れたような声で、耳を貫いていく。ああ、ああ、ああ。

 何で俺はこんなことをしないといけない。
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