17のとしに
「よっす」
「こんにちは~」
秋仕様になってきた2人の服装に何となく中学の頃を思い出す。気づいたら奈央の髪も伸びていた。ミディアム、という長さなのだろうか。
「いつもごめんなぁ」
「大丈夫だけども」
初は小さく微笑み、奈央の表情を見た。奈央は少々気まずそうな表情をしている。いささかわざとらしい。
「何かあったの」
「たいしたことじゃ無いんだけどね」
「…そう、ちょっと奈央引きずってるって話」
初の表情の薄さでは事の大きさを把握しきれない。さほど大事では無いんだろう。2人の表情や態度からあまり気にする気にはならなかった。
「なるほど?」
「うん、まあ今日は勉強会するんだろ」
俺の背負っているリュックの中には数学や英語などの勉強道具が入っている。奈央や初もそれぞれに持ち寄って来たようだ。
「そうだね」
「持ってきた持ってきた。初と同じやつ持ってきて備えたよ」
にっこりと得意げに奈央は笑った。
「数学とかなら教えられるけど…」
「まじで。教えてもらおう、ロス」
「…絶対能力の違い痛感しそう…」
初は顔をしかめた。奈央は確かにと苦笑いする。俺も軽く笑った。今日、4時までの楽しい時間を満喫してやろうと、思った。

 
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