17のとしに
 町の図書館の隅の机を囲んでちまちまと勉強を始めた。同じ教科を持ってきたといいつつも全員勉強をしていた。奈央が数学Aのワークを広げ、
「ここ全然分からなくて赤点取りそう」
そのページには何度も書き直したあとと赤ペンで修正したあとが残っていた。
「去年やったから教えられる」
「ありがとう、誠也さまさま」
弾けたような笑みを浮かべて両手を合わせた。その隣で漢字検定に向けて勉強していた初が
「えっ数A俺ら去年やってたらどうなってたんだ…」
「分からない…余裕無くて死んでたよね…」
「わかる」
と戦慄が走る会話に俺は癒やされていた。思わず笑うと、2人に「真剣なんだから!」とにらまれてしまった。

 2時近くまで勉強したあと俺たちは図書館を出、ぶらぶらと歩いた。近くの公園のベンチで持ち寄った昼食を取りつつ、だべっている。俺と奈央はおにぎりを初はコンビニで購入でしたであろう菓子パン。
「新発売って聞いたけどあんまり好かないなぁ」
もぐもぐと虚空を見つめながら、初は呟いた。ピーナッツバターのにおいがする。奈央と俺は笑いながら、パンの一部を分けてもらっていた。
 ふとあたりを見渡すと、少し前まで元気に茂っていた葉がどんどん元気をなくし、枯れ葉となっていく。今まで忘れていたが、秋、と言えば芸術の秋である。最も、それを発表する文化祭、今年は校内だけのこじんまりとした文化祭のみである。校外の人間にも公開され、出し物を楽しむのは俺が高校3年生の時、つまり大きな思い出ができあがるのは来年なのでそれよりも大事な勉強に力を入れている。2人の高校はどうなのだろう。
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