17のとしに
「どんな感じよ」
「たとえばねえ」
心臓がきゅっと詰まりそうだ。無感情に淡々と作業をする彼らを見ていると不安がじわじわと俺の胸を支配する。学校の先生なんて大変だなぁなんて思っている。彼らは異本的に真面目なんだ。それがまず俺たちの特徴だろうな。だからこうやって再会もできたんじゃないかなとも思った。ただ、俺はアダルトチルドレンの概念に関して「救われない」だとか言ってしまったから、責任は取らねばなるまい。そう考えながら、例を述べていた。頭がいい人間に説明するというのはなんだか不思議な気分だった。

 アダルトチルドレンの概念をもう一度確認しよう。
 簡単にいうと、正常な機能をしていない家庭で育ち、子供らしくいることができなかった人々が大人になりそこから生まれる様々な弊害に苦しんでいる人をさしている。一応、俺たちはもうすぐ青年期に分類されるが、あだ名で呼び始めたのは中学の頃だ。まだまだそんな概念知らなくても良かったころである。しかし、俺、誠也、初、まなみが奈央に家庭や人間関係の悩みを相談し途方に暮れた奈央が概念で救おうと考えたのは責めることはできないし、一時期ではあるが、救われたのもたしかだ。
 30分ほどたち、全員の作業が終わった。
「んじゃ俺から言うわ。俺はクラウン。ピエロってことであの頃、クラってあだ名がついたよね。その頃俺は単にかっこいいなと思ってた」
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